虫歯治療
初期虫歯は自覚症状が乏しく、お痛みが出るころには悪化しております。
ちょっとしたことで歯が痛い、食事で歯がしみた、鼻炎や頭痛によって起こる歯痛もありますが、歯にこのような違和感をおぼえたら多くの場合、虫歯である可能性が高いと言えます。
実はごく初期の虫歯は自覚症状がなくほとんど痛みもありません。そのために歯が痛み、しみ出した時点では、ある程度進行した虫歯になっているといえます。
放っておくとさらに進行していくので要注意です。
特に何もしていないのに痛いというのは、虫歯がかなり進行している深刻な状態。
「我慢できないくらい痛くなったら歯医者へ行こう」ではなく、少しでも異変を感じたら早めに歯科医院へ相談することが大切な歯を守る第一歩です。
なるべく歯を削らない虫歯治療「3Mix」について
3Mix法は、虫歯の治療法の一つで、正しくは病巣無菌化組織修復療法3Mix法と言います。
細菌を殺す三種の抗菌剤(メトロニダゾール・ミノサイクリン・シプロフロキサシン)を混ぜ合せることから命名されました。
虫歯の部分の細菌を死滅させ、病巣を無菌化することで、人間が本来もつ修復力を利用して組織修復させます。
歯を削る量がごく少量で治療が出来ることが特徴です。
3Mix法は、高齢者やお子様にも優しい治療法です。
今までの歯科治療では、虫歯は削って治す方法が主流でした。
3Mix法は、抗生物質を用いることによって内科的に虫歯を治すというものです。
もちろんすべての症状に適用できるわけではありませんが、3Mix法によりできるだけ歯を削らずに治療することが可能となりました。
痛みの少ないレーザーによる初期虫歯治療
レーザーによる虫歯治療は従来の回転切削器具と異なり、細菌感染した悪い部分のみを選択的に取り除くことができるので、痛みが発生しにくい初期虫歯治療に効果的です。
さらに殺菌効果が高いので虫歯の再発を予防する効果も期待できます。
レーザーで処置できるのは痛みがまだ無いか、もしくは軽度の初期虫歯(C1,C2)に限ります。
尚、レーザー治療は効率が悪いので、あまりに虫歯が大きいと従来通り、回転切削器具を併用して治療することになります。
歯周病とは
歯周病とは歯茎や歯肉の病気だと思っておられる方が非常に多いのが現実です。
しかしながら実際に歯周病とは、歯を支える大切な骨が破壊されていく自覚症状のない恐ろしい病気なのです。
歯を失う原因で最も多いのは実は虫歯ではなく、歯周病なのです。
まずはご自身の歯周病の状態をあらゆる角度から知ることが大切です。
歯周病セルフチェック
1つでも当てはまったら歯周病の可能性があります。
早めの受診をお勧めします。
□ 最近、歯が長くなってきて隙間がある
□ 歯ブラシをした時に出血する
□ 歯並びが悪くて磨き残しがある
□ 歯軋りをしている
□ 口臭が気になる
□ 抜けたままにしている歯がある
□ 揺れている歯がある
□ 水を飲むとしみて痛い
□ 歯茎に痛みがある
□ 口内炎ができやすい
歯周病の予防方法
歯周病の予防には、テレビCMでもございますとおり、プラークコントロール、つまりプラークを確実に取り除くことが最も大切です。その方法として正しいブラッシングをすること。
「私はきちんと毎日ブラッシングをしているのに…なぜ?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
成人の実に約80%が歯周病という統計もありますが、その方々全員がブラッシングをしていないとは考えられません。
それではブラッシングをしているのにも関わらず、なぜ歯周病にかかってしまうのでしょうか。
その最大の理由は、きちんと磨いているつもりでもきちんと磨けていないのが実状だからです。
つまり「磨いてる」ということと「磨けている」ということは、行為は同じでも結果は全く違うということです。
ここで皆さんに質問します。
- ご自分に合った歯ブラシをお使いですか?
- 古い歯ブラシをいつまでも使い続けていませんか?
- 歯ブラシの持ち方は正しいですか?
- 正しい位置に歯ブラシが当たっているでしょうか?
- 磨く順序は適切ですか?
- 歯磨きに要している時間はどのくらいですか?
多くの方は、いわば自己流でブラッシングを行なっており、きちんとは磨けていなくても自分では磨けているつもりになっているといえます。たかが歯ブラシ、されど歯ブラシなのです。
ですから、気軽に相談できる歯科医師を見つけ、ご自分に合ったブラッシングの方法を教えてもらい、それを続けていくことが大切です。 そうすれば、自然にきちんと磨けることにつながっていくわけです。
また、歯ブラシでは磨けていないところは歯間ブラシやデンタルフロス、部分磨き用の歯ブラシなどの補助器具も併用することが大切です。
歯周病の主な原因について
歯周病の主な原因は、歯磨きが適切に行われなかったことにより、食べかす等の汚れが歯面に付着し、細菌が繁殖することです。
つまり、歯周病は歯周病細菌による感染症なのです。
また老化等やストレス、喫煙なども歯周病の原因となります。
バイオフィルム
バイオフィルムとは、細菌が菌体外多糖という物を作って堆積した非常に取りにくい細菌の固まりです。
つまり、お口の中に台所やお風呂の排水管のネバネバした部分がある状態といえます。
バイオフィルムの中には、虫歯や歯周病の原因菌が多数存在しています。
ではどうしたら、このバイオフィルムを除去することが可能なのでしょうか?
答えは簡単。歯ブラシやフロス等で機械的にこすり、除去することです。
しかし、歯ブラシだけで完全にバイオフィルムを除去することはできないと言われています。
特に歯周ポケットの内部には、歯ブラシは届きませんのでバイオフィルムの内部の細菌を除去することはできません。
歯周病を治すには単に消毒したり、その部分に薬を入れるだけではなく、このバイオフィルムを専門的に除去していく必要性があるのです。
バイオフィルムと歯周ポケットとの関係
軽度の歯周病
ポケット(歯と歯肉の境の溝)が4~5mmとなります。
歯と歯肉の溝に細菌が集まり、バイオフィルム が形成されると細菌が放出する酵素により歯肉に炎症が起こり、歯周ポケットができます。
この段階がいわゆる軽度の歯周病段階です。
この段階であれば、歯科医院での歯石取りやクリーニングで治すことが十分可能です。
中度の歯周病
ポケット(歯と歯肉の境の溝)が概ね5~7mmになります。
ポケット内部でバイオフィルムが増殖すると、細菌を食べる多形核白血球や抗体が登場します。白血球は酵素を分泌し、細菌を攻撃しようとします。
しかし、細菌はバイオフィルムのバリアーにより保護されているため、白血球の攻撃を受けません。逆に白血球が出す酵素により歯肉が破壊され、歯肉の炎症はさらに拡大します。
重度の歯周病
ポケット(歯と歯肉の境の溝)が7mm以上になった状態です。
免疫細胞や抗体は細菌を攻撃し続けますが、バイオフィルムのバリアー効果により、細菌はダメージを受けません。それどころか バイオフィルムは どんどんと巨大化して行きます。
その結果、炎症は深部へと進行し、歯周ポケットはさらに深くなり、最終的には骨の吸収(溶ける)が始まります。
こうなると歯を支える骨がなくなってきて歯がグラグラし、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病と全身疾患の関係
歯や歯ぐきの健康は口の中だけでなく全身と関係しています。
口の中には何百種類という細菌が生息していますが、口から体の中に入り込むとさまざまな病気(心臓病、肺炎、糖尿病、早産等)を引き起こすことが知られ、医科でも問題になってきています。
歯周病をたかがお口の病気とあなどってはいけません。
歯周病の人が心臓病になる確率は健常者の2~3倍にもなるといわれています。
肺炎
心臓病
また心臓の内側にある心内膜(しんないまく)の炎症を引き起こし、細菌性心内膜炎(さいきんせいしんないまくえん)になる場合もあります。
糖尿病
早産
歯周病の妊婦は、歯周病でない妊婦と比べて、早産や未熟児を出産する確率が7倍にもなるといわれています。
当院の歯周病治療
ブラッシング指導による歯周病治療
当院のブラッシング指導方法
①まず当院では、しっかりとブラッシングが出来ているか患者様ご自身に確認をしていただく為、安全な染め出しの薬剤を歯に塗布します。
②その後、普段と同じように歯ブラシをしていただきます。左は歯ブラシ後の画像です。歯間を中心に多くの磨き残しがあることが確認できます。
③そこで、丁寧にブラッシングを仕方をお教えすることにより、左の画像まできれいに磨くことが可能となります。
ブラッシング指導後の歯周病改善例
丁寧な歯石除去 ~スケーリング~
歯周病治療の基本 ~ルートプレーニング(SRP)~
歯の表面が滑らかになることで、歯根部に歯石がつきにくくなり、さらなる歯周病や虫歯の予防にもなります。
最後に歯周病は治るのでしょうか?
現在、歯周病の患者様にとって『歯周病は本当に治るのか?』ということは最も気になるところだと思います。
まず始めにその答えからお話します。
中等度までの歯周病であれば、十分改善します。
しかし、あまりにも進行した歯周病の場合には残念ながら治りません。
やはり歯周病も他の病気と同じく、早期発見・早期治療が重要であるといえます。